[レポート] スマートスピーカーで提供する料理体験 #alexaday2019
はじめに
本ブログは、2019年4月6日にスペースアルファ三宮にて開催されたAlexa Day 2019のセッション、「スマートスピーカーで提供する料理体験」のレポートです。
スピーカーは、 クックパッド株式会社の山田 良明さんです。
概要
音声インターフェースのひとつの利点である「ハンズフリーであること」が活かせるシーンのひとつである料理の領域において、スマートスピーカーを通した体験を提供するにあたって得られたことについて話をします。
レポート
自己紹介
- @y_am_a_da
- 2016年にクックパッド入社
- 研究開発部でAmazon Echo, LINE Clova Deskなどスマートスピーカー向けサービスの開発を担当
クックパッドとスマートスピーカーの関わり
- AlexaやGoolge アシスタント、Clovaにサービスを提供している
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VUIの強み
- 情報の入出力が速い
- ハンズフリー
- 物理的な制約を気にしなくてもよい
- 手が届くところにおいておく必要がない
- これらは料理の領域と親和性が高い
- こういうシーンなら便利かも
- 車の運転
- 洗面台で化粧しているとき
- 鏡の前で着る服を決めているとき
- 運動しているとき
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料理しているとき
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VUIの弱み
- 一覧性に乏しい
- 一度に多くの情報を返す用途には向いてない
- 情報のフィルタリングが難しい
- 音声では読み上げ側で工夫する必要がある
- 全体のインタラクションはそこまで早くない
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出力された情報のフィルタリングが難しいため、工夫しないと全体のインタラクションが早くならない
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調査によるとスマートスピーカーはキッチンでかなり使われている
- キッチンでどんなことに使われているか?
- ラジオや音楽を聞く、タイマーをかけるなどの操作がまだまだ強い
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スマートホームの操作は一度使うと便利さに気づくので、まだまだ使用率は低いが定着率が高いのでは
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とはいえ
- スマートスピーカーのリテンション率は低い(3%)
- 一度存在を忘れられてしまうと、もう使ってもらえない
- 日常的に必要なものではないと、使い続けてもらうのは難しい
クックパッドの取り組み
- 日本でのローンチとともにサービスを開始した
- ローンチ当時は、冷蔵庫の余っている食材を教えると、その食材で作れる副菜を提案してくれる機能を提供
- 当時の仮設
- Echoは家に置かれることが多いだろう
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聞かれるタイミングは料理の直前または最中だろう
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工夫をした点
- モバイルアプリの代替を目指さない
- VUIの強み(音声操作)・弱み(フィルタリングが苦手)を活かす
- インタラクションをできるだけ減らす
- インタラクションが増えてしまうとスマホの方が速いし便利ということになってしまう
- 読み上げを短く + VUIに向いていない機能はバッサリ減らす
- 聞かれた内容によって提案のフローを変える
- 食材1つ -> 使いたい材料ですぐ作れるレシピを提案
- 食材2,3つ -> インスピレーションを得ることを目的と想定して幅広いレシピを提案
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料理名 -> 料理の作り方を思い出したい、知りたいと想定してその料理の一番人気のレシピを提案
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苦労をした点
- Alexaが認識する言葉を定義するモデルの調整
- 複数食材を発話する場合のAlexa側の誤認識
- 「大根のレシピを教えて」 -> 「鯛とコーンのレシピを教えて」(ローンチ当初)
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発話によるテストやテストコードの必要性
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ローンチ当時のこれらの機能は現在クローズ
- ディスプレイ付きスマートスピーカーの登場により、もっと多くのことができるようになった!(ポジティブな変化)
- 登場人物が2人いる機能は難しそう(スマホとスマートスピーカー)
スキルの現状
- Alexaスキル - クックパッド
- 動作イメージ
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こうやって考えました
- 人がAlexaを演じてみる
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今のスキルがいいと思うところ
- 料理に集中できる
- 指を使わなくてもよい、目線を移す必要がない
- デバイスの汚れを気にしなくてもよい
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声の届くところにデバイスを置けばよいので、キッチンの汚れを気にしなくてもよい
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Echo + IoTを使った実験
- SmartKitchenSummitというイベントで展示した内容
- 調味料サーバーを音声で操作
- 実装はしていないが「Alexa、三杯酢をつくって」みたいなこともできるかも
- クックパッドはスマートキッチンのOicyというサービスを展開している
まとめ
おわりに
ローンチ当初に泥臭く苦労した点などを語っていただき、スキル開発者として共感できるところが多かったです。 調味料サーバーをAlexaで操作する実験的な取り組みも非常に面白そうな内容でした! 山田さん、ありがとうございました!